うだるような暑さが続く、日本の夏。屋外での建設作業や、空調設備が不十分な工場・倉庫内、あるいは常に動き回る医療や介護の現場など、過酷な環境で働く方々にとって、「熱中症」は毎年、深刻な労働災害のリスクとして立ちはだかります。
「気合と根性で乗り切る」という時代は、もう終わりました。熱中症は、個人の体力や我慢の問題ではなく、適切な知識と対策によって「予防すべき」重大な事故です。そして、その対策の最も重要な柱の一つが、毎日身につける「作業服」の選び方なのです。
「どんな作業服を選べば、少しでも涼しく、快適に働けるのだろう?」 「最新の空調服って、本当に効果があるの?」
この記事では、そんな夏の厳しい労働環境を乗り切るための「着る熱中症対策」として、作業服が持つ重要な役割から、涼しさを生み出す機能的な特徴、そして職種別におすすめの最新作業服まで、ユニフォームのプロが徹底的に解説していきます。
なぜ暑さ対策が大切なのか?
夏の暑さ対策は、単に「快適に働くため」だけのものではありません。それは、働く人々の「安全」と、企業の「生産性」に直結する、極めて重要な経営課題です。
熱中症のリスクを軽減できる
厚生労働省の統計によると、職場での熱中症による死傷者数は、毎年、後を絶ちません。特に、気温が急激に上昇する梅雨明けの時期から8月にかけて、多くの労働災害が発生しています。 熱中症は、めまいや頭痛、吐き気といった初期症状から、意識障害やけいれんなど、重篤な状態に急速に進行する可能性のある、非常に恐ろしい症状です。
最悪の場合、命を落とす危険性さえあります。 適切な作業服を着用し、体温の上昇を効果的に抑制することは、この熱中症のリスクから、働く人々の尊い命を守るための、最も基本的で、そして最も効果的な対策の一つなのです。
従業員の生産性低下が予防できる
夏の暑さは、従業員の心身に大きな負担をかけ、業務の生産性を著しく低下させます。ある研究によれば、気温が25℃を超えたあたりから作業効率は徐々に低下し始め、30℃を超えると、その低下はさらに顕著になると報告されています。 集中力の低下は、作業ミスの増加や、思わぬ事故の原因にもなりかねません。
また、過度な暑さによる疲労の蓄積は、従業員のモチベーションを削ぎ、組織全体の活気を失わせます。 涼しく快適な作業服を導入し、従業員が働きやすい環境を整えることは、夏の生産性低下を防ぎ、企業の業績を守るための、重要な「投資」といえるでしょう。
熱中症対策につながる作業服の特徴
では、熱中症対策に有効な作業服とは、具体的にどのような特徴を持っているのでしょうか。その鍵は、「熱」と「汗」を、いかにコントロールできるかにあります。
熱がこもりにくい
作業服の内部に熱がこもってしまうと、体温がどんどん上昇し、熱中症のリスクが高まります。そのため、衣服内の熱気を、いかにスムーズに外部へ排出できるか、という「通気性」が非常に重要になります。 背中や脇の下といった、特に汗をかきやすい部分に、メッシュ素材などの通気性の高い生地が使われている作業服は、衣服内の空気の循環を促し、熱がこもるのを効果的に防いでくれます。
涼しい素材
着用した瞬間に、ひんやりとした涼しさを感じられる「接触冷感」機能を持つ素材も、夏の作業服には欠かせません。これは、肌の熱が生地へ素早く移動する性質を利用したもので、触れるたびに心地よい冷たさを感じることができます。 また、かいた汗を素早く吸収し、すぐに乾かしてくれる「吸汗速乾性」の高い素材も重要です。
汗がすぐに乾くことで、気化熱によって体の熱が奪われ、体温の上昇を抑えることができます。汗によるベタつきや、不快感を軽減してくれる効果もあります。ポリエステルなどの化学繊維は、こうした機能に優れた素材の代表格です。
冷却機能付き
近年の技術革新により、作業服自体が、積極的に体を冷やす「冷却機能」を持つようになりました。その代表が、「空調服」や「ファン付きウェア」と呼ばれる製品です。 これは、ウェアの腰部分などに取り付けられた小型の電動ファンによって、服の中に外気を取り込み、強制的に空気の流れを作り出す仕組みです。
この風が、汗を瞬時に蒸発させ、気化熱によって体を効率的に冷やしてくれます。 他にも、保冷剤を収納するポケットが付いたベストや、水に濡らすことで冷感効果を発揮する特殊な素材を使ったウェアなど、様々なアプローチの冷却機能付き作業服が登場しています。
夏におすすめの作業服
上記の特徴を踏まえ、夏の厳しい環境下で働く方々に、具体的におすすめしたい作業服の種類をご紹介します。
メッシュベスト
警備業や、交通整理、あるいは屋外イベントのスタッフなど、ブルゾンやジャケットの着用が義務付けられている職場で、手軽に涼しさをプラスできるのがメッシュベストです。
通気性が非常に高く、着用による体温の上昇を最小限に抑えることができます。反射材が付いた視認性の高いタイプを選べば、安全性も向上します。
空調付き作業服
今や、夏の屋外作業における「定番」ともいえるのが、ファン付きの空調服です。一度この涼しさを体験すると、もう元には戻れない、という声も多いほど、その効果は絶大です。 ファンが服の中に風を送り込み続けることで、常に汗が蒸発し、自分の汗で体を冷やすという、人体の自然な冷却システムを最大限に活用します。長袖タイプを選べば、紫外線対策としても有効です。建設現場や、運送業、農作業といった、あらゆる屋外作業に推奨されます。
コンプレッションウェア
体にぴったりとフィットし、筋肉に適度な圧力をかけることで、疲労を軽減する効果があるとされるのが、コンプレッションウェアです。夏のインナーとして着用することで、その真価を発揮します。 多くの製品が、汗を素早く吸収・発散させる「吸汗速乾」機能や、ひんやりとした着心地の「接触冷感」機能を備えています。また、体にフィットすることで、汗を効率的に吸い上げ、アウターウェアへの汗ジミを防ぐ効果もあります。抗菌・消臭機能があるものを選べば、汗の臭いを気にすることなく、一日中快適に過ごせます。
スクラブ
医療現場や介護施設などで働く方々にとって、夏のユニフォーム選びは重要です。スクラブは、Vネックでゆったりとしたデザインのため、通気性が良く、熱がこもりにくいのが特徴です。また、ポリエステルなどの化学繊維で作られていることが多く、洗濯後の乾きが早い「速乾性」にも優れています。汗をかいてもすぐに乾き、常にサラリとした着心地を保てるため、動き回ることの多い医療・介護の現場に最適です。
メディカルジャケット
スクラブと同様に、医療現場で着用されるジャケットタイプのユニフォームです。スクラブよりもネックラインが深くないため、前かがみになった際などに胸元が見える心配がなく、アクティブに動くことが多い職場でも安心して着用できます。吸汗速乾性や、ストレッチ性に優れた、夏向けの素材で作られた製品も多くラインナップされています。
チュニック
エステサロンや、美容クリニック、歯科医院など、女性が多く働く職場におすすめなのが、チュニックタイプのユニフォームです。ウエストがシェイプされた美しいシルエットでありながら、動きやすさも確保されています。通気性や、汗をかいても透けにくい素材、接触冷感機能などを備えた、夏向けの製品を選ぶことで、快適さと、プロフェッショナルとしての美しさを両立させることができます。
涼しさを感じるためのポイント
最適な作業服を選んでも、その着こなし方を間違えると、効果は半減してしまいます。涼しさを最大限に引き出すための、3つの重要なポイントをご紹介します。
ポイント①重ね着をする
「暑いのに、重ね着?」と意外に思われるかもしれませんが、夏の快適性を追求する上では、適切な「重ね着(レイヤリング)」が非常に効果的です。素肌の上に直接、作業服を着るのではなく、機能的なインナーを一枚挟むことで、汗の処理能力が格段に向上します。
ポイント②吸湿性・速乾性があるインナーを着る
重ね着の主役となるのが、インナーです。インナーには、肌から出た汗を素早く吸い取り、そしてその水分をすぐに外へ発散させる「吸湿性」と「速乾性」が求められます。綿(コットン)素材のインナーは、吸湿性には優れますが、乾きが遅いため、汗で濡れた状態が続き、かえって体を冷やしたり、不快感の原因になったりします。夏場は、ポリエステルなどの化学繊維で作られた、高機能なコンプレッションウェアなどをインナーとして選ぶのが最適です。
ポイント③通気性がある上着を着る
機能的なインナーが汗を吸い取って外へ発散させても、その上に着る上着(アウター)の通気性が悪ければ、湿気は衣服内にこもってしまいます。インナーとアウター、それぞれの機能が連携して初めて、汗を効率的に外へ逃がす空気の通り道が生まれるのです。インナーで汗を吸い、アウターの通気性で外へ逃がす。この組み合わせが、夏の作業服の基本となります。
作業服での熱中症対策は命を守り効率化を図るうえでも必須
適切な作業服を選ぶことは、もはや単なる福利厚生ではありません。それは、働く人々の健康と安全、そして誇りを守り、企業の持続的な成長を支えるための、不可欠な「投資」です。
ご自身の職場環境や、従業員の皆様の作業内容に、本当に適した一着とは何か。 ぜひ、この記事を参考に、最高のパフォーマンスを発揮するための、最適な夏のパートナーを見つけてください。
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